遺品整理・生前整理特集企画

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

遺品整理想いての安藤です。

今回の遺品整理関連書籍レビューは、ブログやSNSなどでネット上でも注目を集めている、余命宣告を受けたがん患者、幡野広志さんの、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』です。

ストレートな言葉で、人生に後悔はないと言い切る幡野さんに対して、作品を読んでいて強く心を動かされる場面が何度もありました。

以下レビューになります。

 

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この書籍を「半分は妻と子供宛に書いている」という著者の想いが書いてあったが、
以前にもこのようなことを書いてある他者の自伝を見たが、やはりメッセージ性というのは、不特定多数に向けて発するより、伝えたい相手を絞って書く方が圧倒的に心に刺さる深い内容になり、自分がその『伝えたい相手』ではなくても、感情を動かされることが多いと感じた。

本書は癌により3年という余命を宣告され、みんなに「かわいそう」などと憐みられながら、一人一人から同情の声をかけられ、同じような話を展開され、その応対や自分の状況説明に疲れた著者が『自身の近況報告』を行うブログを開始したところから、その後知名度が上がり出版に至ったと聞いている。
私自身が身内で癌という病になった人間はいないので、家族目線での心境などもあらゆるイメージを膨らませて想像しながら読む形となった。

 

◯癌患者の自殺率は異様に高いと言われている。

著者が癌との激痛と戦いながら、自殺しなかった理由の一つに狩猟(しゅりょう)家だったことを理由にしている。

狩猟家であるからこそ、山に行き自分を撃ち抜くことも考えたそうだが、普段の狩猟の経験からそうはしなかったという。
動物たちを鉄砲で打った時、ウサギくらいの大きさの動物は当たりどころがよければ即死するらしいが、たぬき以上の大きさになると即死することはまず無いらしく、聞いたこともないような叫び声を上げ、大きく目を見開きのたうちまわり、血塗れのまま牙を剥き狩猟家に向かってくる動物いたり、傷付いた身体で1キロ以上逃げ回る動物もいるらしい。

その様な経験もふまえ著者は「人はそう簡単に死ねないのだ」と書いている。
その言葉にとても重みがあった。

 

◯後悔は何の薬にもならない

癌になり「なぜもっと健康に気をつけなかったんだ」とか「健康診断に行っておけば」というように、長い時間を後悔に打ちひしがれて過ごしてしまう人が当然ながら多いのだが、著者は「後悔は薬にはならないし、後悔は何も変えてくれはしない。」と言っている。

これは別に癌でなくても、すべての人の過去に対する共通することであり、自分も後悔や何かのせいにする時間を極力0に近づけたいと思った。

 

◯著者が取材した癌患者の女性の話で、3つの大きな学びがあった。

1つは、子宮と卵巣を摘出した女性が性行為をすると我慢できないほどの痛みがあり、続けられる状況ではなくなるらしいこと。
2つ目は、30歳を過ぎてくると子宮を摘出したことを知らない人から「いつ子供を産むの?」とか、「あの子ももう子供産んだよ」などの言葉をかけられると、やはり傷口をえぐられる思いになるという。
なので、あまり相手構わず子作りなどの話をすることを辞めようと考えた。
3つ目は、癌患者の家族などが『私の不幸』として、身内の癌を捉えてしまうこと。
時に患者以上に悲劇の主人公になってしまうことがあるらしい。
家族が患者の重荷になることも少なくないという。

◯著者は人間の命を株式に例えた。

親や兄弟、妻や子供、あらゆる人が自分の株を持っている。
51%以上は自分が所有していて、筆頭株主は自分である。
51%以上の株式を親などに渡してはいけない。
生きるとはどういうことですか?という問いに、
『生きるとはありたい自分を選ぶこと』
とし、人生の選択は今は全て自分の思うように行っているから、後悔は全くないと言う。

最後に著者は親が子供に与える影響の多大さを訴えていて、子供はけっして親の物になってはいけないと言っている。
そして、自らの親のことも真っ向から否定している。
それについては人それぞれかなと思うこととして、問題は自分が今子供に対して、その子を肯定し生かせる親になっているか??
そうなる必要があると、改めて感じた。

 

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レビュー以上になります。

遺品整理想いてにご依頼される方の中には、医師に余命宣告をされ、身の回りの整理をするために生前整理を依頼される方も少なからずいらっしゃいます。
その際のご依頼者の意を汲み取ることなど、整理作業以外には我々にできる部分はいくつかあると感じています。

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